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いいずら便り第257号 定年後の人生を、楽しく仕上げるために4

老後生活にどのくらいお金が必要でしょうか 最低限必要な生活費は    22万円 普通に暮らしたい     27万円 ゆとりをもって生活したい  32~37万円   年金は、夫婦二人でいくらもらえるのでしょうか 会社員夫婦(妻は専業主婦)  22万1504円 自営業(個人事業主)夫婦    一人当たり6万5008円                  二人で 13万0016円        2019年6月に金融庁は、老後資金として「2067万円」が必要と発表しました。 金融リテラシー調査によると、50歳代でこの資金が確保できていないと回答した世帯が、72%いるとの報告があります。 年金で老後は暮らせないといえるでしょう。 年ごとに増税や社会保険の切り捨て、減額が行われており、老後の不安がますます深刻になってきています。

いいずら便り第256号 定年後の人生を、楽しく仕上げるために3

*お金の手当て*  ● 定年後の老後にどんな収入があって、生活費はどのくらい必要な   のか。預貯金や財産はどのくらいあるのか。   結構のんきに生きてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ● のんきにゆったり生きるのは良いのですが、今後生活環境はます   ます厳しくなっていくようですね。 ● 2019年に金融庁が老後に2000万円必要という試算を発表   しました。足りなくて心配という方、いらっしゃると思います。 *老後が不安な世帯は、8割以上* ● 年代別の不安度は、20代から40代が90%以上、少しづつ下   がって、70代以上は75%くらいになっています。 ● 若い世代は、確かに少子高齢化、労働人口の減少、長寿社会とい   うことで、少人数で一人のお年寄りの生活を支えていかなくては   ならない、という認識はあると思います。さらに、その先に自分   たちの老後がありますから。 *老後生活の不安要素は何?* ● 年金や保険が足りない。特に自営業者の場合国民年金が少ない! ● 年金保険料を納めても、少子高齢化が進む中、十分に受け取れな   いのではないかと不安。 ● 保険は嫌いという人もいて、真剣に考えてこなかった。 ● 預貯金などが少ない。金融機関の利息が極端に減った。 ● 給与も上がらず、生活にゆとりがなく、老後の準備ができない。 ● 給与ばかりか退職金も少ない。退職金のない企業も増えている。 ● 物価が軒並み上がり続けている。今後も不安。   次号では、老後にどのくらいお金が必要か考えてみましょう。

いいずら便り第255号 定年後の人生を、楽しく仕上げるために2

*エンディングノート*  ● エンディングノートとはどんなものか、ほとんど   の人は知っています。ですが、実際にエンディン   グノートを書いている人は、1割にもなりません。       *どうしてでしょうか* ● 「人生の最後」を考えるのが怖い、憂鬱だ。  ・誰でも自分は死なない、死にたくないと思っています。   誰もさけることができないことに向き合ってみませんか。 ● 日記も苦手、気持ちを書く習慣がない。  ・作文は学生の頃以来で、面倒くさい。     *難しく考えないで!家族に伝えておきたい       大事な情報や、想いが書いてあればOKです。 ● どう書いたらよいかわからない。  ・まずは、希望や家族への感謝の気持ちなどから。  ・保険、年金、不動産、税金のこと。  ・医療や介護の希望。  ・お葬式やお墓の希望。  ・誰に何を継いでほしいか、相続のこと。  ・その他、気になっていること。 *エンディングノートの効用* ● そういえば、これを何とかしておかないととか、そろ そろ断捨離しようとか、家族のことを改めて考えたり    とか、いろいろな気づきがあります。これからの人生    を前向きに、安心して生きられます。

いいずら便り第254号 定年後の人生を、楽しくしあげるために1

いいずら便り第253号 家族信託のメリット・デメリット8

● 長期間、当事者は拘束されます   信託の持つ機能として【資産承継の指定(遺言代用)】があります。  さらに言うと、“後継ぎ遺贈型受益者連続信託”を契約した場合には、 1次相続だけでなく、2次以降の財産承継者まで自分一人で決定でき るという画期的な機能があります。  これにより、相続関係が複雑な家庭(前妻と後妻との間に子がいるケー スや、親の財産を継いだ長男に子供がいないケース)などの資産承継や 事業承継などでは、この機能が大きな効果を持つ可能性があります。   一方で、何世代にもまたがり、長期に亘って資産の処分に制限をかける ようなことにもなりかねず、かえって争族や不測の事態を誘発しかねないリス クがあるのも事実です。 20年、30年先を見据えた家族信託の設計には、通常以上の熟慮と親 族関係者への想いの伝達・共有・納得が必要です。  可能な限りシンプルで短期的な信託をお勧めしますが、どうしても上記の ような信託を契約する場合には、ぜひ信託に精通した専門家にご相談くだ さい。

いいずら便り第252号 家族信託のメリット・デメリット7

いいずら便り第251号 家族信託のメリット・デメリット6

➎ 家族信託を組むだけでは、直接的に税金の メリットはありません ●人によっては、相続税対策として、家族信託組成後に不動産を売却したり、買い 替えたり、賃貸アパートを建設したりして保有資産の組換えを実行することがあります。 ●しかし本来は、家族信託=節税策という短絡的な話ではありませんので、節税対策として家族信託を検討する方は、そのための節税計画を持っていなければ、家族信託を組むだけでは何ら節税効果は見込めません。 相続発生時における財産評価の減額効果が無いこと等は十分に理解すべきです。 ●老親や家族にとって何を実現したいのかという「目的」を明確にしなければ、そのた めの家族信託の設計はできません。 ●相続税対策なのか、成年後見制度に代わる負担の少ない柔軟な財産管理の実 現なのか、将来の遺産争いを予防する目的なのか・・・。 ●何を実現したいのかという目的をおろそかにしていることがあります。家族内で意思   統一をしておくことが大切です。 ●家族信託は、認知症による資産凍結対策、資産凍結回避の先にある相続税対策や空き家対策、あるいは事業承継対策、共有不動産の塩漬け回避策、親なき 後問題への備え・・・など様々なニーズに応えうる「手段」であるという正しい理解のもと、まずは本人及び家族の“想い”を皆で共有した上で、その目的を実現する選択肢の一つとして家族信託を検討する必要があります。

いいずら便り第250号家族信託のメリット・デメリット5

 税務申告する手間が増える 信託で年間3万円以上の収入がある場合  ● 信託計算書、信託計算書合計表を税務署に提出。    (前年分を毎年1/31までに提出)     ● 毎年の確定申告のとき、信託した不動産から所得が    ある場合は、不動産所得用の明細書の他に、信託財    産に関する明細書を別に作成し、添付する必要があ    ります。  ● 顧問税理士さんがいる場合は、税理士さんがしてく    れます。 ➍ 信託に精通した専門家が少ない。  ● 家族信託は最先端の分野ですから、弁護士・司法書    士・税理士・行政書士等の専門家・公証人ならだれ    でも相談できるという訳ではありません。  ● 中途半端な知識や経験の浅い専門家に相談するとリ    スクが高くなります。  ● 財産管理・資産承継の仕組みである家族信託につい    て、しっかりした見識と実務経験がある法律専門家    に相談しましょう。  ● 誰にも相談しないで、書籍やインターネットの情報    だけで家族信託を実行しようとするのは、危険です    から絶対避けましょう。

いいずら便り第249号

家族信託のデメリット  信託にも限界がある 信託では対応できない、遺言でなければできないこと。  ● 遺留分侵害額請求されたときの、遺留分負担の順序    は遺贈(その他の遺言)を受けた者が先、その次に    生前贈与を受けた者が負担することになっています。    複数の同時受贈者がいる場合、負担の順序を遺言で    指定できます。(民法1047条1項2号ただし書)  ● 相続が発生したときの遺産全てを、生前の信託契約    では網羅しておけないので、信託財産から外れてい    る財産について、別に遺言書を作成しておく必要が    あります。    遺言書がないと、遺産分割協議をしなければなりま    せん。 信託の受託者には「身上監護権」がありません。  ● 身上監護権が必要ならば、成年後見制度を利用し、    後見人として身上監護権を行使します。  ● 通常は、子、家族の立場で、入院・入所手続きをす    ることができますので、実質的には子や家族である    受託者が身上監護面でも対応できると思われます。  ● ただし、オレオレ詐欺をはじめとする詐欺被害に    遭ってしまったときに、取消権が行使できるのは成    年後見人だけですから、念のために任意後見契約も    結んでおいた方が良いでしょう。

いいずら便り第248号

家族信託のデメリット 損益通算ができなくなる  アパートや貸地など収益物件を信託財産に入れた場合、信託不動産の年間収支の赤字は、なかったものとみなされます。(租税特別措置法41の4の2)  信託不動産に関する損失は、信託財産以外からの所得と損益通算して課税対象の所得を減らせません。また、損失の翌年への繰り越しもできません。税務上不利益が生じないか、十分な検討が必要です。  信託契約を複数に分けた場合も、それぞれの信託契約をまたいだ損益通算もできません。家族信託を検討するときは、精通した専門家や税理士に相談してください。

いいずら便り第247号

家族信託のメリット 家族信託は遺言書の機能があり、受遺者の財産を管理することも    できる。   *本人の死亡により、遺産をもらったAが既に財産管理の能力が無い場合には、     受遺者であるAに成年後見人をつけて、財産管理をしてもらわなければならな     いかもしれません。    ですが、家族信託だと、もともと「遺言」の機能として本人死亡後の財産の承     継者を家族信託の契約書の中で指定できる上に、本人が亡くなった後も引き     続き受託者の下で、財産の管理をすることが可能になります。    例えば、高齢のご主人が亡くなった後に遺される認知症の妻がいるとすれば、     引き続き信託の中で、妻の生涯にわたる財産管理・生活資金をサポートするこ     とができます。 ➍ 家族信託で自分の思い通りの資産承継の道筋ができる  *家族信託には遺言の機能があり、さらに2次相続以降の資産の承継先まで自     分で指定することができます。 このことにより、自分の希望する順番で何段階に も資産承継者(=「受益者」)を指定することができます。     また、1次相続による承継者:高齢の配偶者などが認知症や障害により、遺      言等で次の承継者を指定できない場合に、その人に代わって資産承継者を指 定することができます(高齢の配偶者が遺言を書いたのと同じ効果)。 ➎ 家族信託で不動産の共有回避や共有不動産の塩漬け予防ができる *不動産を将来的に兄弟・親戚等で共有せざるを得ない場合、あるいは、既に兄 弟等で不動産が共有になってしまっている場合、何らかの事情により共有者全 員の同意が得られなくなり、必要なタイミングで不動産が有効活用・処分できな    くなり、いわゆる塩漬けになってしまうリスクを回避できます。

いいずら便り第246号家族信託のメリット・デメリット1

家族信託のメリット 本人(老親など)の体調・判断能力に左右されない財産管 理処分ができる *認知症による資産凍結の対策    信託した後に本人の判断能力が低下・喪失しても、“本人の意思確認手続      き”が本人に対して行われないので、実質的に“資産凍結”されず、財産管理      の担い手である子(受託者)が、財産の管理や処分をスムーズに実行できる ➋ 成年後見制度の代りに柔軟な財産管理ができる   *成年後見(任意後見)には次のとおり負担や制約がある     A 家庭裁判所又は後見監督人への定期的な報告義務     B 後見監督人が選任されると、後見監督人の報酬が月1~2万       円 がずっと続く     C 成年後見人ができることは、家族ではなく本人にとってメ       リットのあることのみに限られる       (例えば、農家で、本人がそれまで種苗や飼料肥料の購入を        してくれたが、後見人がつくとできなくなる        年に一度家族旅行に行く費用を出してくれていた本人に後        見人がつくと、できなくなる) *家族信託による財産管理     ● 本人が元気なうちに、本人の希望や方針と、信託する人に付       与する権限を、信託契約書に記載しておけるので、その希望       や方針に反しない限り、財産を託された人は柔軟な財産管理       や積極的な資産の有効活用ができる。     ● 成年後見制度下では実行できない資産の組み換え(遊休不動       産の開発、老朽化した賃貸物件の建て替え、不動産の買い替       え、借金によるアパートの建設等)による相続対策も、本人       の健康状態に関係なく、相続発生の直前まで継続できる

いいずら便り第245号家族信託と空き家2

いいずら便り第244号家族信託と相続空き家1

相続や遺贈で空き家になった実家を相続した場合 相続や遺贈を受けてから3年以内に売却した場合。 譲渡益について金3000万円まで控除されます。  (租税特別措置法第35条第3項:被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所    得の特別控除の特例)  受益者の死亡により終了した家族信託の、残余財産の 帰属権利者が信託財産だった不動産を取得して、売却し   た場合  3000万円までの控除は適用されません。  相続が発生した後、また家族信託終了後空き家をどうするか、よく検討する必要がありますね。  空き家の3000万円控除の特例は、相続人が被相続人から相続した空き家等を適正に管理する責任を負うので、控除するという趣旨です。  信託終了による残余財産の取得は、法律上の相続・遺贈には当たらず、信託行為の当事者でない帰属権利者は、権利を放棄することができます。  ということから、帰属権利者による残余財産の取得を相続人による相続・遺贈による空き家の取得と同様には取り扱わないということです。  詳しくは税理士にご相談ください。      (次回は、空き家控除の要件) 

いいずら便り第243号意外と知らない保険の活用

● 生命保険金(死亡保険金)は「受取人」の固有財産 死亡保険金は受取人の固有財産なので、相続財産にはなりません。 でも受取人が被保険者より先に死亡した場合はどうなるでしょう。  保険法第46条(保険金受取人の死亡) 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金  受取人となる。 受取人が先に死亡した場合の保険金受取人については規定されていますが、 受取る割合までは規定されていないため、民法427条にしたがい、各人 が平等の割合で取得することになります。 ● 死亡保険金は遺産分割協議の対象外 遺産分割協議書に書かなくてよい財産です。 ● 死亡保険金は、相続財産ではないが、相続税の課税対象 みなし相続財産の控除(500万円×相続人の数)額の範囲内なら相続 税はかかりません。範囲外は相続税がかかります。 ● 相続放棄をした相続人でも、死亡保険金を受け取れる 注意点:みなし相続財産の控除の適用を受けられないので、相続税 の負担の面では不利になります。 生命保険が相続財産になり遺産分割協議になる場合 ● 生命保険金の受取人が「被相続人」だった場合 ● 生命保険金の受取人が指定されていない場合 ※詳しくは、相続に強い保険のプロに相談してください。

いいずら便り第242号意外と知らない保険の活用1

老後から相続への道筋で、問題や不安なことがあるときに、役に立つのが生命保険ではないでしょうか。  例えば、体調を壊したり認知症になってしまい、在宅介護が必要になったり、介護施設に入所しなければならない時にはお金が必要になります。  相続財産が自宅不動産が主で、現預金はあまりない場合には、遺留分を渡さなければならない場面もあります。  そんなときに、自宅を引き継ぐ家族に保険金が入るようにしておいてくれたら、相続もスムーズに進み助かります。幸せはお金だけではないけれど、あれば越したことはないですね。  ここで、生命保険のメリットを検討します。  〇 少ないお金で大きなお金を準備できる  〇 遺産分割の対象にならない財産である  〇 相続放棄しても保険金は受け取ることができる  〇 500万円×法定相続人の数=非課税金額  〇 受取人を指定できる  〇 受取人をいつでも変えられる  〇 現在のところ、銀行に預けるよりは増える可能性がある  〇 家族の将来への安心が担保される

いいずら便り第241号遺言書1

公正証書遺言があるかどうか、調べることはできますか? 1. 公正証書遺言の検索システムがあります。   平成元年以降に作成された公正証書遺言については、日本公証人連合会に、遺言情報管理システムがあり、全国の公証役場で作成した遺言公正証書の情報(作成公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等)を管理しています。  全国の公証役場で、このシステムで遺言公正証書の有無および保管公証役場を検索することができます。  近くの公証役場に申し出てください。  遺言検索の申出は、無料です。 2. 検索の方法および必要書類等   遺言検索の申出は、秘密保持のため、相続人等の利害関係人のみが公証役場(公証人)に対してすることができます。  申出の際の必要書類は、  ①遺言者が死亡した事実を証明する書類(除籍謄本等)  ②遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本  ③申出人の本人確認の書類(マイナンバーカード、運転   免許証等の顔写真付き公的身分証明書または実印お   よび印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの))です。    なお、遺言者が亡くなる前は、遺言検索の申出は遺言者本人の他はできません。

いいずら便り第240号任意後見契約8

任意後見契約に必要な書類は次のとおりです。 1.   本人    印鑑登録証明書+実印 (または運転免許証・マイナンバーカード等の顔 写真付き公的身分証明書+認印または実印)    戸籍謄本または抄本 1.   住民票    任意後見人となる人(任意後見受任者)について    印鑑登録証明書+実印 (または運転免許証・マイナンバーカード等の顔 写真付き公的身分証明書+認印または実印)    住民票    なお、受任者が法人の場合は、法人代表者の印鑑証明書+代表者印および資格証明書 ※ 印鑑登録証明書または法人代表者の印鑑証明書および資格証明書については、発行後3か月以内のものに限ります。 前もって公証人と打ち合わせをして予約してから、公証役場へ行きましょう。

いいずら便り第239号任意後見契約7

任意後見契約を、途中でやめられますか? 任意後見契約を解除することはできます。 ただし、解除する時期によって、手続きが変わります。 ① 任意後見監督人が選任されていないとき   合意している場合は、「合意解除公正証書」を作成するか、 「解除の合意書」に、公証人の認証を受ければ、すぐに解除 の効力が発生します。 一方からの解除の場合は、解除の意思表示をした書面に、  公証人の認証を受けて、これを相手方に内容証明郵便で通知す  る必要があり、通知が相手方に到達したときに、解除の効力が  発生します。 ② 任意後見監督人が選任されているとき 任意後見人が選任された後は、正当な理由があるときに限 り、家庭裁判所の許可を受けて、解除できます。   なお、任意後見人について、不正な行為等の任務に適しない  事由が認められるときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後  見監督人の請求により、任意後見人を解任することができます。

いいずら便り第238号任意後見契約6

任意後見契約が締結されると、公証人の嘱託により、契約内容が東京法務局で登記されます。 本人の判断能力が不十分な場合は本人自ら契約等をすることができないので、任意後見人が本人を代理してすることになり、その場合には、委任状に代わる代理権限を証する書面が必要となります。 この登記がされると、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「後見登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することができます。 取引の相手方も、任意後見人から、その「後見登記事項証明書」を見せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことができます。 この後見登記事項証明書は、国の機関が発行する信用性の高い文書で、銀行等の金融機関への届出の際にも必要となります。  ・ 公証人が、自宅や病院に出張して公正証書を作成することが できます。 ・ なお、この場合には、通常の手数料に病床執務加算(手数料 額の 10 分の 5)があり、また、日当と現場までの交通費が 加算されます。

いいずら便り第237号任意後見契約5

身内に任意後見人となる適任者がいない場合は、どうしたらよいですか?    弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士等の専門家に依頼してもよいですし、最近では、市町村等の支援を受けて後見業務を行う市民後見人の制度も活用できます。  厚生労働省ホームページによりますと、現在約4分の1の市町村が市民後見人の育成・活動支援に取り組んでいるようです。    さらに、市民後見人型のNPO法人その他の法人に後見人になってもらうこともできます。 例えば、社会福祉協議会等の社会福祉法人、公益社団法人成年後見リーガルサポートセンター、一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター、公益社団法人家庭問題情報センター等があります。  任意後見人に報酬を支払うか否か、支払う場合にいくらとするかは、委任者本人と任意後見受任者との話合いで、任意後見契約を締結することになります。  身内の方が任意後見人となる場合には、無報酬とする事もあります。    任意後見監督人の報酬額は、家庭裁判所が事案に応じて決定します。  委任者本人の財産の額、監督事務の内容その他の諸事情を総合して決定されているようです。  報酬額の目安については、各家庭裁判所のホームページをご覧ください。  なお、この報酬額は委任者の財産から支払われます。

いいずら便り第236号任意後見契約4

任意後見人に、預貯金等を使い込まれる心配はないですか? 〇 任意後見人は、あなた自身が、最も信頼できる人として、自分で選ん  だ人です。                              ですから、契約に際しては、真に信頼できる人かどうかをよく吟味し  て選ぶことがとても大切です。 任意後見人の仕事は、家庭裁判所によって、任意後見監督人が選任さ  れた後に初めて開始されます。   したがって、任意後見監督人が、任意後見人の仕事に就いて、それが  適正になされているか否かをチェックしてくれますし、任意後見監督人  からの報告を通じて、家庭裁判所も、任意後見人の仕事を間接的に  チェックする仕組みになっています。 〇 そして、任意後見人に、著しい不行跡、その他任務に適しない事由が  認められたときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求 により、任意後見人を解任することができることになっています。 〇 このように、任意後見は、制度的に、後見人に使い込みなどをされる  危険は少ないといえますので、万一のことをご  心配されて、契約を躊躇するよりも、ご自分が  しっかりしているうちに、ご自分の判断で、  積極的に老後に備える準備をされた方が賢明  といえるのではないでしょうか。

いいずら便り第235号任意後見契約3

 契約の内容は、自由に決められますか?  違法、無効な内容のものはダメですが、任意後見契約は、契約ですから、契約自由の原則に従い、当事者双方の合意により、法律の趣旨に反しない限り、自由にその内容を決めることができます。  任意後見人は、身内でもなれますか? 成人であれば、誰でも、あなたの信頼できる人を、任意後見人にすることができます。身内の方でも、友人でも全然問題ありません。     ただし、法律がふさわしくないと定めている者(破産者、本人と訴訟をした者、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由のある者(例えば金銭にルーズな人)など)はダメです。 弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士等の専門家に依頼してもよいですし、また、法人(例えば、社会福祉協議会等の社会福祉法人、リーガルサポートセンター、家庭問題情報センター等々)に後見人になってもらうこともできます。 任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた場合に備えてあらかじめ結ばれるものですから、任意後見人の仕事は、本人がそういう状態になってから、始まることになります。 具体的には、任意後見人になることを引き受けた人や親族等が、家庭裁判所に、本人の判断能力が衰えて任意後見事務を開始する必要が生じたので、「任意後見監督人」を選任してほしいと申立てをします。 そして、家庭裁判所が、任意後見人を監督する「任意後見監督人」を選任しますと、そのときから、「任意後見人」として、        契約に定められた仕事を開始することになります。

いいずら便り第234号任意後見契約2

任意後見契約を締結するには、任意後見契約に関する法律により、公正証書でしなければならないことになっています。  公正証書でする理由は、    本人の意思をしっかりと確認    契約の内容が法律に従ったきちんとしたものにする  深い知識と経験を持つ公証人が作成する公正証書によらなけれ  ばならないと定められています。 任意後見人の仕事は、どういうものですか 1 「財産の管理」  自宅等の不動産や預貯金の管理、年金の管理、税金や公共料金  の支払い等 2「介護や生活面の手配」 ・要介護認定の申請  ・介護サービス提供機関との契約 ・介護費用の支払い  ・医療契約の締結  ・入院の手続き ・入院費用の支払い  ・生活費を届けたり送金               ・老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結  ★ 任意後見人の仕事は、自分でおむつを替えたり、掃除をした りという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活 面の手配をしてあげることです。★

いいずら便り第233号任意後見契約1

後見は、後見人に財産管理や日常取引の代理等を行ってもらうことによって、保護を必要とする人を守る制度です。 法定後見と任意後見があります。 ● 法定後見は、判断能力が既に失われたため、自分で後見人等を 選ぶことが困難な場合に、裁判所が後見人を選ぶ制度で、裁判 所が選ぶので、全く知らない人が後見人になることがほとんど です。 〇 任意後見は、まだ判断能力がある程度(後見の意味が分かる程 度)ある人が、自分で後見人を選ぶ制度で、信頼できる人にあ らかじめ頼んでおけます。 〇 このように、自分が元気なうちに、信頼できる人を見つけて、 その人との間で、もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合   等には、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をして   くださいとお願いしてこれを引き受けてもらう契約が、任意後  見契約なのです。 〇 そのため、任意後見契約は、将来の老いの不安に備えた 「老後の安心設計」などと言われています。

いいずら便り第232号

生前事務委任とは、身体機能の低下(腰が痛くて歩きに くい等)に備えて、元気なうちに日常生活の支援を委任し ておきます。後見制度を使うほどではないけれど、財産管 理などで誰かのサポートが欲しいとき契約します。 ● 生前事務委任契約の財産管理の内容   ◆ 財産の維持管理・処分の支援   ◆ 銀行など金融機関の口座の出し入れ   ◆ 年金の受取   ◆ 不動産収入(家賃・地代など)の受取り   ◆ 保険の締結や解約など   ◆ 賃貸住宅の入居手続き   ◆ 賃貸住宅の家賃の支払いなど   ◆ 役所への手続きの代行    ◆ 大体は銀行や役所への手続きを高齢者に代わって行うものです。 ● 医療看護のサポートの内容   ◆ 入院や退院の支払いや手続き   ◆ 介護保険や福祉サービスの契約管理や立会   ◆ 要介護認定や介護サービスの利用手続き、支払い   ◆ 手術の立会や説明を一緒に聞く ● 生前事務委任契約のメリット ● 注意点   1 身体能力の衰えをサポート  ★ 契約書は公正証書にする   2 手続きの度に委任状が不要  ★ 報告は逐一してもらう   3 親族の使い込みを防ぐ    ★ 印鑑や通帳は自分で管理する                   ★ 信頼できる人と契約する

いいずら便り第231号こんな人も遺言書が必要

元気だからまだ考えたくないです。     元気じゃなければ、書類や契約書の署名できないです。 ◆ 財産が少ないから必要ないです。     口座を凍結されたら、少なくても相続人全員の印鑑と     印鑑証明書が必要です。署名してくれない人が現れた     り、例えば評価額の低い不動産を相続手続きしたり処     分したりするときに評価以上の経費が掛かったり。 ◆ 家族の仲が良いから必要ないです。     現在は仲が良くても、家族や兄弟の各家族の事情が変     わり、争いになる可能性があります。 ◆ 子供がいません。     子供がいない方は、書いておかないと自分の兄弟たち     と残った配偶者が遺産分割協議をしなければなりませ     ん。兄弟姉妹には遺留分請求権はないので、遺言書が     あれば、配偶者にすべてを相続させることができます。 ◆ 心配事があります。障害がある子がいます。     子が生涯安心して暮らせる財産を、残しておきたいで     すね。 ◆ 海外に子がいます。手続きは大変ですか?     海外では署名証明書等大変なので、海外にいる子も含     んで遺言書を書いておきましょう。 ◆ 相続人がいません。     相続人がいなくて国庫に帰属する財産は600億円以      上に。お世話になった人に遺言書で残しませんか。                 

いいずら便り第230号

戦前は家督相続で長男が引き継いでいました。 ● 戦後は民法改正により、子供たちは平等になりました。 ● 父親は、同居している長男に相続させようと思っていて、    遺言書は必要ないと思っています。一方、他の兄弟たちは    平等に分けてもらえると思っています。このギャップが、   相続争いのもとになります。 ● 親の相続のときに、長年のうっぷんが噴出してきます。   例えば、大学へ進学した兄、高卒の弟、という兄弟の軋轢。 ● 浪費家の子供がいたり、病気療養している子供がいたり。   お金を残さないほうが良い子、お金が必要な子にきちんと   手当しておきましょう。 ● 遺言書を書いて、実態に合った分け方ができます。 ● 遺言書と遺書を勘違いしていると、書きにくい。   遺書は死ぬためのもの。   サスペンスドラマでは遺書があれば自殺の可能性が高いと   言っていますね。   遺言書は、心配事を取り除き、安心して長生きするための   道具です。おおいに活用しましょう!     

いいずら便り第229号具合が悪くなったら困ること

人生は初めての経験ばかりです。  元気なうちは、失敗したりわからないことがあったらい くらでもやり直しができ、調べたり聞くこともできますね。 でも、具合が悪くなって、認知症になってしまったら、ま して天国へ行ってしまったら、やり直しはきかない、残っ た家族はご本人に聞くこともできないことになります。  だから、元気なうちに自分の人生の仕上げや、亡くなっ てしまった後の手当てしておく必要があります。 ● 具合が悪くなったら、どんな困りごとがありますか? 1 身上監護 具合が悪くなってからの生活を誰が看るのか、看て もらいたい人に頼んでおきましょう。 財産管理   銀行口座が凍結されるかもしれない。管理を頼んで  おきましょう。 1と2の両方の対策「成年後見制度」⇒おひとり様対策    法律で、詐欺などからおひとり高齢者を守ります。 2と遺言が一緒にできる「家族信託」⇒信頼できる子がい                    る方の対策   信頼関係にある家族間で、財産を託し、高齢者を守ります。

いいずら便り第228号相続に備える8

遺言書とは違う遺産分割協議は有効か その1 *遺言書とは違う分け方も可能です。  ● 遺言書に書いてあるとおりに分けると、税務上不都合なこと があるとか、相続人間の争いが起きそうという場合には、相続 人全員の同意があれば、遺言書とは違う分け方ができます。 ● 遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意が必要です。 *遺言書と違う分け方ができない場合 ● 相続人以外の受遺者がいる場合は、受遺者の権利を一方的に   奪うことはできません。 ● 受遺者がいても、受遺者が了承して、遺贈を放棄すればでき   ます。特定の財産の遺贈(例:◆◆銀行の預金を友人Aに遺贈   する、という遺言)を放棄するときは、内容証明郵便で相続人   に意思表示をするとよいでしょう。いつでも遺贈を放棄するこ   とができます。 ● 包括遺贈(割合を示している、例えば相続財産の内6分の1を   ○○○○に遺贈する、と書かれていた遺言)の放棄は、相続の   開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の   最後の住所地を管轄する家庭裁判所に遺贈の放棄の申述書を提   出して行います。 ● 遺産分割が5年間禁止されている場合は、遺言書と違う分け   方をすることはできません。